ShortStories

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カメレオン・ホロウ

「―――本当は全部解ってるんでしょう、」
終わりを迎えず、擬態し続ける街。恋人たちはほほ笑みながら、やさしい街の夢に浸かる。

此花咲哉

「……きみを喰ってしまいたくて、たまらない、」
淋しがりやの人喰い鬼と、生贄の少年。どこへもゆけない、ふたりの話。

黒鈍の眠り姫

「夢の中なら、私の好きなことが何でも叶うもの。我侭ばっかりの私でも、きっと、優しくしてくれるもの。」
黒鈍色の暗やみで、眠り姫は瞼を閉じて錘を待つ。

真白に沈む夢

「あなたの苦しさを全部抱えて、私も一緒に―――死んであげる。」
無くなることをゆめ見る少女たち。ため息と、泪と、ほほ笑み。

うるわしき氷の姫君

「ぼくはずっと昔、つめたい氷に恋をしたんだ。」
バーの片隅で紳士が語る、かなわない恋の話。

ネバーエンド・ワールズエンド

「決まってるでしょ、そんなの。世界を救うため。それがわたしの仕事だもの、」
世界のために祈る少女と、世界の終わりを願う少年。総て知らないふりをして、終わりは収斂してゆく。

天使は遊戯を愉しまない

「お兄ちゃんは、夜緒子のことが厭いでしょう、」
妹を憎む兄と、兄を愛する妹。ねじれたお遊戯は、花色の湯気でおぼろげに霞む。

醒めない現実のプレ・コグニション

「信じられないくらいの莫迦だよ。……救われたいなんて、思っても無いくせに。」
閉じ込められた少年と、恋人を殺した男。切り離された部屋には、薄っぺらな台詞が響く。

約束は要らない

「約束があるから、行くよ。」
約束をする意味。居なくなってしまった友達と、風鈴の音。

続かないユリカ

「あなたは世界が厭いかい、エシュウ。」
うつくしい死神の話。始まりも終わりも続きも無い少年は、ただ歩いてゆく。

駆けるイカロス

「どうしたら良いのかは解ってなかった。ただ、殺したかった。」
世界から見放された異形の子供たち。翼を広げたイカロスが進むのは、閉ざされたひとつの道。

消えない背中の羽根の痕
「ねぇ、ユト。ぼくらはいつか、天使になろうね、」
秩序の消えた廃園の、天使と人間の話。届きようも無い、祈りの言葉。

あまい咎のひかり
「あなたと一緒なら……、何処へでも。」
遠く、世界から離れた場所で囁かれることば。夢のような現実は、ひかりと土に溶けてゆく。

アルストロメリア・イエロウ・イエロウ
「君志。わたしはもう、泣くことは無いよ。幸せだね。幸せだね、」
狂気の愛と蒼い眼の猫。花びらが散るように、幻は世界と飽和してゆく。

世界の終わり
「世界の終わり……、華が散って、空が堕ちる。」
夢想と、血のいろと、確かなもの。聖ルチアは美しいまま、終わりを希むだけ。

こどもと虹
「……明日になったら、わたしは子供だったことを忘れてしまいそうだ。」
大人になることへの不安と、寂しさと、おそろしさ。泪を乾かすのは、ふと射す虹のひかり。

時計仕掛けのサルヴァドォル
「孤独を恐怖することの、何と莫迦なこと……、」
時間を止めるために、博士は研究に没頭する。可哀相なサルヴァドォルのお話。

堕つ春華
「過去みたいな言い方、しないで、あたしのこと連れてってよう、」
出征した少年と、遊郭に売られた少女。思い出すのは、ただ、散り吹雪く桜ばかり。

過ぎる光に白百合の手向けを
「……お前の手は、何で汚れないんだ?」
殺し屋と、孤独な少年。汚れた世界でも見える、うつくしいもの。

アナクロニスティック・アリア
「ヒナは、ここに居る?この世界に、生きてる―――――?」
ふたりきりの少年たちの、ある夜。いのちの無い街に響くヒナの歌声。

辟易の広葉樹
「りっちゃん、死ぬの恐いか。」
死を待つ少女と、陽気なドクター。胸を蝕んでゆくのは、けして病だけではなくて。

「鏡よ、鏡よ、・・・・・・、」
姿見の鏡が映し出す、狂気と恋と死体。

水青奇譚
「あんたたちは迷子だよ。この森に迷い込んで来ちゃったんだね。」
ゆめまぼろしのような、昏く美しい森の不思議な話。

餞の桔梗、雨と彼岸
「なら、いい。綺麗に死ねたなら、いい。」
縛り続けた鎖をほどかず消えた妹。眼に焼きついたのは、桔梗のあざやかさだけ。「創痕」二話。

古傷
「好きになっちゃ、いけないの。」
傷のあとをかかえながら、彼はやさしく微笑む。縛られる重みとその救い。「創痕」一話。

遊園地
「こんな穢いところに、ぼくを置いていかないで―――――」
何も無い世界に生きる、ふたりきりの少年たち。置いてけぼりの、その淋しさ。「廃墟の街」一話。

幽鬼
「地階―――――暗いところに、いくのよ。」
ひとの魂を導くものたちの話。人間で無いものにも存在する、愛すべき日常と、怖気のたつ非日常。

秘めごと
「あたしねぇ、通り魔の犯人知ってるんだ。」
下らない日常。嘘。少女。秘密と生きることの下劣さは、計り知れないものだ。